施工例

施工例

こちらのステンドグラスは、イギリスからの入荷の際に残念ながら破損してしまい、絵付けのピースが割れてしまうなど、商品としてご提供できる状態ではありませんでした。

しかし、それをウェリントンの職人の手によってリペアすることで、ここまで美しいステンドグラスとして再構築することができました。

今回はこのリペアの過程をご紹介させていただきます。

まずは絵付けのピースを、12〜13世紀の技法に倣って再現するところからスタートです。

グリザイユと呼ばれる鉱物をワインビネガーで溶いたものを絵の具として用います。

このステンドグラス特有の絵の具によって線描きが施され、絵付けの輪郭や模様が描き込まれていきます。

この写真の上に並んだものがオリジナルのガラスピース。

下は職人が再現したものです。
繊細な模様が緻密に表現されていますが、まだ色は入っていない状態です。

 

こちらが色付けの為にシルバーステインが塗布された状態です。

赤く見える部分がシルバーステイン。これにより、アンティークガラス特有の黄色味がかった色が付きます。

ちなみに、シルバーステインは侵食性が強い為、絵付けを施した面ではく裏面に塗っています。

再現したガラスが完成したら、次は分解と再構築です。

このステンドグラスはケイム(金属部分)の傷みがひどく、また、新しく作ったガラスをより美しくはめ込む為にも、一度バラバラに分解し、ケイムの交換・再構築を行いました。

再構築において重要なのは、ガラスのピースを間違いなく元の場所に戻すこと!

全体の輪郭取りをして、膨大な数のピース全てに番号を振り分けます。

赤く塗られている部分は、前述のシルバーステイン。

新しく作ったピースです。

外側から徐々に分解していきます。

 

 

ようやく全てのピースが分解されました。

 

この分解されたピースを使って、あらかじめ用意した輪郭・写真・ピースの番号を頼りに、再構築するための地図を作り上げていきます。

地道な作業の末、地図が完成しました。

 

ここからはピースの配置・ケイムの加工・ケイムの溶接といった作業に入ります。

 

 

 

作業が進むに連れて仕上がりの雰囲気がどんどん感じられるようになって、期待もぐっと膨らんでいきますね。

 

そして、手塩にかけた逸品がようやく形になりました!

完成したステンドグラスは、ガラスの雰囲気に劣らぬよう重厚な木枠を取り付けて、ウェリントンの店頭入ってすぐの所に設置しております。

 

 

 

繊細で美しいこちらの逸品。ぜひ一度、店頭でご覧になってみてください。

 

 

 

ウェリントンでは、このような伝統的な技法で作られたステンドグラスをリペアできる職人が揃っております。

もちろん、ここまで大掛かりなものでなくとも、サイズの加工や木枠の製作など、様々なご要望にお応えできるよう、職人と共にご相談させていただきます。

ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。
ちなみに、こちらのステンドグラスは販売しております。興味をお持ちになられた方は、ぜひこちらもお気軽にお問い合わせくださいませ。